投資用ワンルームマンションを230万円値下げした話。適正価格をどうやって検証するか?
ポイントサイトのハピタスなどで「マンション投資に関する面談を1~2時間行うだけで、1~5万円のお小遣いが稼げる」と話題になっています。
陸マイラーの方は、こうしてポイントサイトで得たポイントをうまく交換して、数万マイルもの大量マイルを獲得しているかと思います。私もすごいお世話になっています。
不動産の面談をしたことがある人の中には、「当初お小遣い稼ぎのつもりで面談を行ったつもりだったけど、話を聞いてみると不動産投資の魅力に惹かれて実際に購入を検討している」という方もいらっしゃるかと思います。
私はこれまで、ポイントサイトを通じた不動産面談で10万ポイント(=10万円相当=81,000マイル相当)以上を得ていますが、ポイントのためだけに面談を行っているわけではなく、良い物件があれば実際に投資したいと思っています。
ただし、面談時に提示された物件のほとんどが相場よりかなり高額なものばかりでした。
私は幸い、仕事で不動産を扱っているため、投資を検討するうえでの知識をある程度は持っていますが、初めて不動産投資の話を聞く方は、
- 不動産価格が妥当かどうかをどうやって判断するの?
- 投資を検討するうえでチェックすべきポイントは?
- 価格の値引きってできるの?
などなど、分からないことが多くあるかと思います。
以下では、今後マンション投資の面談を予定している人に向けて、面談で確認すべきポイントなどを解説したいと思います。
また、先日私が実際に面談を行った際、当初の提示価格である2,080万円+諸費用50万円から「1,900万円・諸費用なし」まで、約230万円も値引きすることができました。
せっかく不動産を買うのであれば、少しでも安く買いたいですよね。
約230万円もの大きな値引きに至った経験についてもご紹介したいと思います。
※不動産投資全般に共通する事項として記載していますが、以下では、特に東京都内の中古ワンルームマンション投資を想定した書きぶりとなっています。
1.不動産価格の妥当性を検証する方法
ワンルームマンション投資の営業を受け、具体的に物件価格を提示されたときに、「その価格が妥当かどうかよく分からない」ということはありませんか?
家賃相場は近郊に済んでいれば何となくイメージがわくと思いますが、物件自体の価格となると適正価格の判断が難しいと思います。
物件価格が高いかどうかを判断するためのポイントは「キャップレート」です。
<キャップレートとは>
キャップレートとは「Capitalization Rate」の略で、不動産投資において投資物件の収益性を評価する際の大事な指標の一つで「還元利回り」などとも呼ばれます。キャップレートは対象の不動産が生み出すNOI(家賃収入から管理費や固定資産税などの諸経費を差し引いた純粋な収益。減価償却前。)を、不動産価格で割り戻すことで算出します。
・具体例
①年間家賃収入:100万円
②管理・修繕費:△20万円
③固定資産税等: △5万円
④NOI : 75万円(①-②-③)
⑤不動産価格 :1875万円
⑥キャップレート:4%(④÷⑤)
物件価格だけの情報ではそれが高いかどうかは一概に言えません。
例えば東京で、1憶円の物件でもキャップレートが20%(NOI:2000万円)だったらめちゃくちゃ安いことなりますし、1000万円の物件でもキャップレートが2%(NOI:20万円)だったらめちゃくちゃ高い物件ということなります。
また、キャップレートの情報だけでも、投資すべきかどうかは当然判断できません。
1億円でキャップレートが5%(NOI:500万円)の物件でも、東京の一等地であれば非常に安いですが、田んぼだらけの田舎であれば非常に高いことになります。
要するに、物件が所在するエリア・築年数・駅距離等に応じて、適正なキャップレートが設定されているかどうかを確認する必要があるということです。
それでは、適正なキャップレートかどうかを判断するためにはどうしたらいいのか?以下では、「不動産投資家調査」「上場リートの開示資料」などを参考にすることをおすすめしています。
1-1.不動産投資家調査を参考にする
「不動産投資家調査」はデベロッパーや銀行・生保、アセットマネージャーなどを対象とした調査を行っているもので、エリア毎に物件に期待する利回りなどがまとめられています。半年に一度更新されていきますので、直近のマーケットを確認するためには、直近の調査結果を確認する必要があります。
<不動産投資家調査(2018年10月時点)>
http://www.reinet.or.jp/wp-content/uploads/2010/10/39.pdf
上記調査結果のP14に各エリアでざっくりとした「期待利回り」「取引利回り」がまとめられています。以下では実際に購入する立場として「取引利回り」でみていきたいと思います。
※ 期待利回りは「各投資家が期待する採算性に基づく利回り」、取引利回りは「投資家が実際の市場を観察して想定する利回り」
例えば、東京でみると、
アクセス :最寄り駅から徒歩10分以内
築年数 :5年未満
平均専用面積:25~30㎡
総戸数 :50戸程度
という前提で、キャップレートは地区別に4~4.2%ほどのレンジになっています。
地方であればさらにざっくりしていますが、例えば福岡では5.2%と設定されています(天神・博多などの中心地を想定しているはずです)。
駅徒歩10分以内、築年数5年未満という目安でそれぞれ設定されていますが、仮に築古であればキャップレートは上がりますし、駅直結であればキャップレートは下がりますので、物件価格を検証するうえでは、個別要因を考慮しながら検証を行う必要があります。
1-2.マンションに特化している上場リートの開示資料も参考になる
上場リートなどは投資家向けの情報開示が充実していますので、非常に参考になります。どのリートでもいいと思いますが、自身が投資を検討しているエリアの物件を保有するリートの開示情報を見ると、より参考になると思います。
https://www.comforia-reit.co.jp/file/ir_library_term-tmp-yFmwv.pdf
上記は東急不動産のコンフォリア・レジデンシャル投資法人というリートが開示している決算説明資料ですが、P46に各保有物件の還元利回り(=キャップレート)が記載されており、東京の物件のほとんどが鑑定評価ベースでキャップレート4%台前半であることが確認できるかと思います。
例えば東京で、不動産会社から提案された物件のキャップレートが3%台前半だった場合は、マーケットより高値で売り付けられていると理解すればいいと思います。
2.不動産投資を検討するうえで重要な5つのチェックポイント
不動産投資を検討するうえで、確認すべき点は非常に多岐にわたりますが、以下に5つを挙げさせていただきました。
なかでも、肝となるのは「家賃設定」だとおもいますが、その他の要素も実際に運営をしていく中で非常に大きな要素だと思っています。
その他、物件周辺の環境(スーパーやコンビニが近いか)や物件の管理状況(共用部にゴミが散乱していないか)などなど挙げだしたらキリがありませんが、収益性に直結する以下の5点は、特に重要なポイントだと思います。
2-1.現行家賃は適正か?
キャップレートを算出するうえで、家賃から管理費・修繕費・固定資産税等を差し引いたNOIが計算に使われますが、「現行家賃が相場と比べて高くないか?」という視点でのチェックは不可欠です。
入居者がかなり昔から入居している場合など、現行家賃と比べて著しく高い水準となっている可能性があるため、入居者が入れ替わることで収益が大きく下がるリスクがあります。
そのため、現行家賃をベースにキャップレートを算出するのではなく、周辺相場で妥当と判断される家賃をベースにキャップレートを算出する必要があります。
同じ物件で空室がでている場合は、現在いくらで募集しているのか?をチェックするのも有用だと思います。
2-2.設備の更新履歴は?
中古物件の場合は、設備の更新状況を不動産会社にしっかり確認するようにしておきましょう。
例えば築15年でエアコンや給湯器などの設備が一切更新されていない場合、20万円~というオーナー負担がすぐに発生する可能性があります。
仮に設備が更新されて間もなければ、一定年数は突発的な更新費用が発生するリスクは低いと考えることができます。
2-3.長期修繕計画は?
不動産会社から「長期修繕計画書」を取り寄せるようにしましょう。区分マンションを購入する際にあまり意識がいきにくいのですが、建物全体の価値を維持するためには中長期的に適正な修繕を行っていく必要があります。
これまで行ってきた修繕履歴を確認するとともに、今後予定している大規模修繕を含めた修繕費に対して、修繕積立金がきちんとプールされているかをしっかり検証する必要があります。
例えば、「築15年で外壁改修工事等で4000万円の大規模修繕を計画しているにも関わらず、築14年の段階で修繕積立金が1000万円しかプールされていない」といったことがないかを確認する必要があります。
2-4.節税できるか?
サラリーマンが不動産投資に取り組む際に、大きなメリットとなるのが節税です。
やり方によっては、物件自体の年間キャッシュフローをプラスにして、かつ会計上は減価償却費を計上して税の還付を受けることもできます。
ポイントは土地建物の価格内訳、建物のうち、設備と躯体の価格内訳を開示してもらい、減価償却費を大きく計上できる最初の数年で税の還付を最大限受けることです。
↓減価償却については少々複雑ですので、こちらも参考ください。
2-5.管理委託は外せるか?
私が面談する不動産会社でよくあるパターンとして、物件を売却し、その後に物件管理をグループ会社等で引き続き行う形態が非常に多いです。
管理費として家賃の(一般的に)5%が引かれる代わりに、様々な業務をやってくれます。※3%でやってくれる会社もあります。
例えば、
- 入居者の賃料請求・収納・督促
- クレーム対応
- 空室発生時の原状回復工事の手配
- 入居者の募集 等
ただし、家賃の下落や空室発生、修繕積立金の上昇などでキャッシュフローが悪化した場合など、「上記の業務を自分で行って管理費を節約する」という選択肢がでてきます。
その際に、オーナーである投資家と管理会社とで締結している管理委託契約を外すことになるのですが、管理委託契約更新以外のタイミングで解約するとペナルティがあったりしますので、できればそういった制約がない約定としておくことが望ましいです。
3.面談で230万円の値引きに成功!
不動産会社が物件を売却する際は、利益がでるから売却するのであり、基本的には値下げの余地があると思った方がいいと思います。
「会社のスタンスとして一切値引きには応じない」というところもあるかもしれませんが、「投資家の利益なんか知りません。うちの利益は確保させてもらいますんで。」と言っていることと同義だと理解しています。
(具体的な会社名等は伏せますが)以前に、都内(大田区)のワンルームマンションで2080万円の物件を提案されたことがありましたが、キャップレートは相場より低い3%台でした。
「不動産投資家調査に基づくキャップレート相場」、「周辺家賃相場」などから逆算し、“物件価格は1900万円”と主張することで、当初は先方も難色を示していましたが、結果的に申し入れどおりに値引きが実現できたことがあります(その後色々あり、購入には至っていないですが)。
おまけに諸費用の50万円も含めて1900万円としていただきましたので、値引きの額としては、物件価格180万円と諸費用50万円の合計230万円にもなります。
もし何も交渉していないと、230万円も損していたことになります。
やはりダメ元でも、一定の根拠を持って交渉すれば応じてくれる会社もありますので、是非トライしてみることをおすすめします。(特に先方の決算期などは有効だと思います。)
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
物件価格の妥当性を検証するのはなかなか難しい作業ですが、アプローチの仕方について少しでも参考になればとご紹介させていただきました。
扱う金額が大きいため、50万円・100万円の違いには鈍感になってしまう側面もあるかと思いますが、しっかり金額を検証して少しでも値下げを追求できるよう、トライしてみる価値はあると思います。
引き続き、ポイントサイトでのお小遣い稼ぎをかねて、不動産面談を続けていきたいと思います。
以上