働き方改革の不動産への影響について考える
“働き方改革”の影響により、私の勤務先においても、有給休暇や育児休暇の取得推進が強化され、上司から休みを取るよう厳しいトレースが始まったり、会社でパソコンを使える時間が短くプログラムされたり(決められた時間を過ぎると強制ログアウト)しています。
また、今後はテレワーク(在宅勤務)制度の導入や裁量労働制(一定時間のみなし残業制度)の廃止、私服での出社※などを予定しており、より働き方の自由度が増していくことが見込まれています。
※個人的には私服での出社だと、私服を買うお金がかかるので勘弁してほしいです、、、
個人的には、特に“テレワーク制度”を導入する企業がもっともっと増えていけば、日々の暮らしに直接的な影響があり、不動産業界にとっても一定の影響があると思っています。
1.テレワークについて
テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用して、時間と場所を有効に活用できる柔軟な働き方のことを指します。
日本では、同じ職場にて同僚や上司などと顔を合わせて働くスタイルが主流となっていますが、女性活躍等を念頭に置いたダイバーシティ経営の考え方や働き方改革の気運の高まり等の要因により、テレワークに対する注目が集まりつつあります。
一方で、データで見てみると、2016年9月末時点でテレワークを導入している企業は全体の13.3%というまだまだ低い水準に留まっているようです。【(出典)総務省「通信利用動向調査」(2016年)】
2.テレワークに期待される効果
◆労働人口増加・女性の活躍【社会のメリット】
まず、日本の課題として少子高齢化等による労働人口の減少がありますが、働く意欲を向上させ、労働人口を増やすことが期待されています。
例えば、子育てなどの関係で仕事を続けることが難しいという方にとっては、就業機会の拡大に繋がると思いますし、「出産・育児・介護」と「仕事」の二者選択を迫る状況を一定程度緩和する効果があると言えます。
◆長時間労働の是正・ワークライフバランスの実現【従業員のメリット】
テレワークを導入することによって、通勤時間が削減されること等によって、家族と過ごす時間や、自己啓発などの時間、趣味などに使う時間が増加することが期待され、ワークライフバランスの向上に寄与することが期待されます。
テレワークを導入する企業が増えれば増えるほど、東京都心部などではサラリーマンの大きなストレスの要因となっている朝の通勤ラッシュが緩和されます。
◆有能・多様な人材の確保、生産性の向上等【企業のメリット】
柔軟な働き方の実現により、有能・多様な人材の確保(採用効果)と流出防止、能力の活用が可能となることに加え、オフィスを介さないことによる営業効率の向上や、顧客訪問回数・顧客滞在時間の増加に伴う顧客満足度の向上などが期待されます。
また、ワークプレイスのスペースの見直しや備品などオフィスコストの削減、通勤・移動時間や交通費の削減等にも一定程度寄与すると考えられます。
3.不動産・ワークプレイスへの影響を考えてみる
在宅勤務の拡大に伴って労働人口の増加に一定の効果があったとしても、自宅での在宅勤務が増えれば増えるほど「オフィスワーカー数」は減少することとなります。
また、在宅勤務制度と言っても、サテライトオフィス※やカフェなどで働く層も一定程度見込まれますので、オフィス床需要への影響度合いについては、テレワーク制度の利用実態をよく見ていく必要があるかと思います。
※企業本社や本部から離れた所に設置されたオフィスのこと。本拠を中心としてみた時に、惑星を周回する衛星(サテライト)のように存在するオフィスとの意から命名。
なお、オフィス床の総量としての需要については、在宅勤務以外の要素として、ペーパレスの推進による書庫スペースの軽減やフリーアドレス(固定席ではなく自由席)制度導入などによって、従前必要とされていた床スペースが必要なくなる可能性があると考えます。
※一方で、人口動態としては地方→都心部への人口流入が続き、東京圏などは一定の需要があり続けると思います。
4.まとめ
働き方改革の動きは今後の日本社会への影響が非常に大きく、日常生活の風景を変える可能性がある取組みだと思っています。
不動産業界にとっても、前述のとおり色んな影響が考えられる政策ですので、引き続き、導入企業の事例や日本全体の普及率をしっかり注視していきたいと思います。
ちなみに、私が在宅勤務をすることになった場合には、おそらく家ではだらけてしまうような気がしますので(お酒を飲んでしまうかもしれません)、仕事部屋のようなスペースを確保できる物件への転居を検討したいと思っています。
※そんなことを考える人が増えると住宅への需要にも一定の影響があるかもしれません。
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